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第183話

イスラ

ミスティカの目は虚ろに見えた。彼女はローズマリー、ラベンダー、セージの束をリボンで結んでいた。部屋全体がスパイスの香りに包まれ、天井を見上げると乾燥中のハーブや花の束しか見えなかった。ここはミスティカの聖域、城の裏手にある小さな部屋で、キッチンガーデンに繋がっている。ほとんどのメイドたちはこの空間をハーブを吊るしたり野菜を保存したりするために使用している。窓から差し込む霞んだ灰色の光の中、完璧に整理された棚に並ぶ去年の夏のトマトやリンゴ、桃の缶詰を眺める。

目の前の落ち着くはずのお茶を見下ろすが、唇に運ぶ勇気さえ見つからない。

昨夜の出来事の後では、そして今や城壁の内側からの脅...