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第109話

水が船を打ち、私たちは水面を滑るように進んでいく。数日前に遭遇した大きな波、この旅を決めたことを後悔させ、海に投げ出されるかもしれないと思わせた波は収まり、今は穏やかな揺れだけが残っている。その揺れは私を眠りに誘うほどだ。

でも、眠るわけにはいかない。

何日も、何週間も眠れていない。マドックスが城を出ることを禁じたにもかかわらず、これをしなければならないと決めてからずっと。

彼と争うことは本当に胸が張り裂けそうだけど、私がここにいる理由はある。彼にはそれが理解できなかった。私の話を聞こうとしなかった。

私は彼が抱えていた問題に付け込んだ。そして今、私はここにいる…たとえ彼が私のしたこと...