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第1351話優しい

その時、這って離れようとしていたタデウスが、不意に振り返り、ダリルが座っているソファに目をやった。そして、急いでそこへ這い戻った。

タデウスはすぐにダリルの元へたどり着くと、大きな丸い目で見上げ、新聞を読んでいるダリルを見つめた。それから、ぽっちゃりとした小さな手を伸ばし、ダリルのズボンの裾をくいっと引っ張った。

新聞に夢中だったダリルは、這い戻ってきたタデウスを一瞥したが、無視することにした。なぜこのちびはまた戻ってきたんだ?

彼は新聞に視線を戻し、タデウスなど存在しないかのように振る舞った。

階段から見ていたセシリアは、胸に葛藤が走るのを感じた。

もしダリルを避けたいと思っていな...