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第1322話氷のように冷たい

翌朝、セシリアはまだ眠っているサディアスにキスをすると、革のバッグを肩にかけ、借りているアパートを後にした。

セシリアが空港に到着すると、白いシャツを着たダリルがすでにターミナルで待っていた。

息を切らして駆け寄ってくるセシリアを見て、サングラスをかけたダリルは冷ややかに言った。「書類は忘れてないだろうな。くだらないことで手間取らせるなよ」

セシリアは眉をひそめた。『何なの、この男。私が離婚を取りやめるって心配でもしてるわけ?』

彼女はむっとしながらバッグから書類の束を取り出し、ダリルの目の前に突きつけた。「書類なら全部ここよ。あなたは? ちゃんと持ってきたんでしょうね? 私には経営し...