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第1297話ハンサムエリヤ

セシリアは何も言わなかった。その沈黙が、彼女が考え込んでいることを示していた。

アザレアはセシリアを一瞥してから立ち上がり、自分の寝室へと戻っていった。

その場に立ち尽くしたセシリアの頬を、涙が伝った。感情がこみ上げてきて、どうしようもなかった。

ちょうどその時、何人かの使用人が掃除に入ってきた。泣いているところを見られたくなくて、セシリアは急いで立ち上がり、ヴィラから歩き出した。

裏庭には温室があり、考え事をしたい時にセシリアがよく行く場所だった。そこは静かな場所で、たまに庭師が訪れるだけだった。

温室に足を踏み入れるとすぐに、セシリアは咲き誇る蘭の花の前に座り込み、抑えきれずにむ...