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第1284話悲劇のカップル

ダリルの顔を見て、セシリアは乾いたはずの涙が再び溢れ出すのを感じた。

彼女はただ彼を見つめ、静かに泣いていた。

セシリアの苦悩に満ちた表情は、ダリルの先ほどの怒りを完全に消し去り、深い心の痛みに取って代わった。

次の瞬間、ダリルは一歩踏み出し、セシリアをその腕の中に引き寄せた。

セシリアは彼の広い胸の中で、抑えきれずに嗚咽した。

ダリルは心配そうに眉を寄せながら、彼女の震える背中を撫でることしかできなかった。

「泣かないで。俺がいる」長い沈黙の後、ダリルは囁いた。

ほんの短い言葉――しかし、それらは温かい毛布のようにセシリアを包み込み、彼女の張り詰めた神経を和らげた。

セシリア...