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第1271話あなたを不当に扱った

「ちょっと手を洗ってらっしゃい」アザレアは息子に温かく声をかけ、微笑んだ。

その笑顔を見て、セシリアは今日一日、彼女からこんな優しい表情を見たことがなかったことに気づいた。

「わかったよ、母さん」ダリルはそう答え、ダイニングルームを出て行った。

アザレアはテーブルのそばで料理を取り分けているセシリアに目をやり、「何してるの? 手伝ってあげなさい」と促した。

「はい」セシリアは少し驚きながら答えた。(手を洗うのを手伝うの?)

彼女はそれ以上何も言わず、持っていたボウルを急いで置き、ダリルの後を追って部屋を出た。

ダリルがちょうどバスルームに着いたところで振り返ると、セシリアが近づいて...