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第156話

ヴァレローズ

私はまるで夢の中にいるような気分だ。レクシを腕に抱き、胸に押し当てながら踊っている。彼女は私を見上げて微笑んでいる。その瞳に宿る感情。それは愛だと思う。その視線を向けられたことがないから確信はできないが。今まで女性に欲望や恐怖の眼差しで見られたことはあっても、愛情を持って見られたことは一度もない。しかし、レクシがライアンやルーサーを見るときにも同じ輝きを目にしているから、それは愛、あるいは少なくとも愛の始まりなのだろう。彼女の口から言葉を聞けば確信できるだろう。今はただ、胸に寄り添う本物のレクシを楽しみたい。もう夢ではなく、腕の中に本物の彼女がいる。これは今までの夢をすべて合わ...