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第123話

ヴァレローズ

エンブローズと私はレクシを後にして、しばらくの間、黙ったまま馬を進めた。あそこで何が起きたのか考える時間が必要だった。レクシが現れた瞬間から、私の冷酷さも血への渇きも消え去ってしまった。彼女の写真を見てから今まで思ってきたこと、感じてきたことをすべて彼女に打ち明けてしまった。自分自身にさえ認めていなかったことまで話してしまった。すべてが溢れ出た。フィルターもポーカーフェイスも効かなかった。人や潜在的な敵と対峙する時に誇りにしていたものが。エンブローズが時々こちらを見ているのを感じたが、彼は何も言わなかった。それはスイートルームに着くまでの話だ。ドアが閉まるとすぐに彼は唸るように...