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第10話

レキシ

家に帰ってから、スライスしたりんごとぶどうで軽く小腹を満たした。食べ終わった後、仕事に必要なものがすべて揃っているか確認する。仕事まであと1時間あるので、裏のポーチに出てみた。私はここに座るのが好きなんだ。屋外用のヒーターか何かに投資して、もっと頻繁にここで過ごせるようにしたほうがいいかもしれない。手すりに寄りかかって、ただ森を眺める。でも実際には何も見ていない。ただ心を彷徨わせているだけ。

ようやく目を開けると、昨日と同じチョコレート色の狼が見えた。少なくとも同じ狼だと思う。同じ毛色と目をしている。そして間違いなく同じおどけた表情だ。今回は森の縁に座っているのではなく、私が彼にあ...