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第98話

シェイラの視点

私はシアの部屋の前で立ち止まった。ノックをする代わりに、手を宙に上げた。ドアノブを掴んだが、鍵がかかっていた。

いらだたしくため息をつき、手首にしていた黒いブレスレットを外した。そして、ささやくだけで、ドアの鍵が開く音が聞こえた。ブレスレットを手首に戻し、ゆっくりとシアの部屋に足を踏み入れた。

部屋の中を見回したが、シアの姿も、床に飛び散ったキリアンの血痕も見当たらなかった。しかし、部屋の隅のテーブルの上に小さな短剣が置かれているのが目に入った。眉をひそめながらテーブルに近づき、短剣に触れようとした時、背後からシアの声が聞こえた。

「見てごらん、誰が来たのかしら」彼女の...