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第92話

シーラの視点

「それだけじゃないんだよ、愛しい人」キリアンが悲しげで真剣な目で私に話しかけてきた。「新月の夜までもう三週間もないのに、今になって僕たちはまだ選ばれし者を見つけていないことがわかったんだ」彼は一旦言葉を切り、私をじっと見つめた。「シアは選ばれし者ではなかったんだ」

私の体はキリアンの腕の中で凍りついた。「何ですって?」

シアは選ばれし者ではない。その言葉が私の頭の中で何度も繰り返された。エイディーでさえ私と同じくらい驚いていた。

何が起きても不思議ではないと思っていたが、これだけは予想外だった。でも待って、何かおかしい。「どうしてそんなことが?」と私は尋ねた。私の知る限り...