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第75話

シーラの視点

私は動けなかった。身動き一つとれず、言葉さえ発することができなかった。

まるで時間そのものが止まり、周りの全ての動きが停止したかのようだった。

私の目はリアの狼から離れなかった。敵のパックの狼に噛まれ、攻撃され続け、その爪がリアの首を貫いていた。彼女の血が流れ出し、大地を染めていく。リアの狼が動かなくなるまで、それは止まらなかった。

私は弱々しく息を呑んだ。胸に重い衝撃を感じた。突然、足から力が抜け、血に染まった地面に崩れ落ちそうになった。それでも、私はリアの狼の姿から目を離さなかった。彼女は...死んでしまったのだ。リアは死んだ。

突然、周囲が生き返り、動きが正常にな...