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第56話

シーラの視点

「反対だ」キリアンは冷たく言った。彼の言葉が私の耳に響いた。あり得ない。デヴォンのことを考えると、頭が回らなくなった。彼がこんな風に命を落とすなんて、絶対にあってはならない。

私はキリアンの冷たい視線と目を合わせた。彼の暗い琥珀色の瞳は私から離れ、法廷内の他の全員に向けられた。

「囚人は死ななければならない」キリアンは再び言った。

私は座席で凍りついたまま、怒りが体中を駆け巡った。私の怒りに満ちた視線は彼を貫いたが、キリアンは私の方を見ようともしなかった。

彼を信じようとした自分が何を考えていたのか、わからない。あんな血も涙もない野郎に、一体何を期待していたのだろう?

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