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第27話

ヴァレリーの視点

私は最高評議会の巨大な黒い門をくぐりながら、艶やかな黒髪を覆っていた毛糸のフードを下げた。ここに来る途中で胸に詰まっていた落ち着かない気持ちを解き放つように、新鮮な空気を穏やかに吸い込んだ。

私の隣には、クレセント・ノース・パックのアルファ、キリアンがいた。彼は私に小さくうなずきかけ、共に最高裁判所へと歩を進めた。

黒い扉を通って最高裁判所に入ると、私が育ったクリスタル・フォートレスを思い出した。残念ながら、もうそこは存在していない。

私の目は、今日の評議会会議に出席した全員の見慣れた顔々を見渡した。法廷には北中央全域から集まったあらゆる超自然種族の評議会の階級メンバ...