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第176話

キリアンの視点

「いや、クソ、あり得ない」私は完全に動けなくなり、考えることも、呼吸することもできなかった。「シーラが器なんてあり得ない」と私は呟いた。その言葉が口から出るのを聞きながら、こんなことが現実でないと、どれほど強く願っていたかに気づいた。これはただの馬鹿げた考えだと思いたかった。

ロレンゾがゆっくりと椅子に崩れ落ち、両手をしっかりと握りしめるのを見つめていた。

「どうしてそんなに確信が持てるんだ?」私は彼に近づいた。

「何度も何度も呪文をかけたんだ。シーラの血液には異常がある、キリアン。闇の魔法で汚染されている」ロレンゾはゆっくりと話し、彼の一言一言が私の胸を刺すようだった...