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第169話

シーラの視点

「ショータの魔法についてよ」ゼリヤが言った。彼女の暗い視線が法廷にいる全員の顔を巡っていく。

「何があったの?」私は巨大なテーブルに身を乗り出し、細い指で黒い水晶球を握りしめているアメリーに視線を移した。彼女はその中に心を奪われているようだった。

「昨夜の血の月の間、アメリーは二つの幻視を見たわ。一つは全面戦争のこと、もう一つはショータの魔法についてよ」ゼリヤは一旦言葉を切り、暗い視線が私に向けられた。「解放されたわ」

何人かが息を飲み、私はしばらく言葉を失った。「それはありえない」と私は自分自身に言うように呟き、両手を握りしめた。

「わかっているわ。ウラジミールは攻撃...