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第87話

エマ

デックスは飾りだと思っていた弓を壁から取り外す。その弓は長く、濃い色の木で作られている。木目がはっきりと浮かび上がり、弓の長さに沿って曲線を描いている。

デックスは革製の箱から矢を取り出す。金属の矢じりが窓から差し込む光を受けて輝いている。彼は弓と矢を手に持ち、ほとんど構える時間も取らずに、ぴんと張られた弦を放つ。矢は部屋の遠い端へと飛んでいく。

矢は空気を切って飛んでいく。私が振り向いて行き先を追うと、藁で作られた円形の的の真ん中に命中している。これもまた、ただの飾りだと思っていたものだ。

眉をひそめてデックスの方を振り返ると、彼は勝ち誇ったような笑みを浮かべて私を見ていた。ア...