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第82話

風が木々の間を吹き抜け、葉が空中で舞い踊る。鳥たちが頭上で枝から枝へと飛び移りながらさえずっている。太陽が頭上で明るく輝き、その光が川を流れる水面に反射している。

周囲は静かで穏やかだが、今の私の心は平穏とはほど遠い。悲しみが胸を焼き、内側深くまでねじれるように痛む。

「彼女をあそこから出さなければならない」と、川のほとりの岩の上に腰掛けている女性に向かって私は唸った。

時間が刻々と過ぎていく。エマの青い目を一度に何人もの者が知ることになり、父は素早く行動した。六人の衛兵が私を押さえつけ、エマを連れ去った。衛兵たちは彼女を地下牢に連れて行ったが、私を通さないよう命令されていた。父の命令は...