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第81話

エマ

マイルズとカラムは宮殿の警備員をどう巧みに避けるかを熟知している。彼らはすべてのスケジュール、すべての日課を把握している。私は彼らが私を三階へ連れて行く間、盲目的に彼らを信頼するしかない。

私はほとんど息をするのも恐ろしい。誰かが私の匂いを嗅ぎつけるのではないかと恐れている。捕まることも、マイルズとカラムが罰せられることも怖い。

部屋に着くと私たちは静かにしている。ハドリアンの聴覚は他の誰よりも優れていることを知っている。彼が執務室にいれば、私たちが音を立てた瞬間に聞こえてしまうだろう。カラムは首を振り、応接室のドアを開ける。

私は執務室のドアと向かい合う。目で木目の流れをなぞる...