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第44話

エマ

目が覚めると、ベッドは冷たい、いつものことだ。ベッドカバーを引き上げ、顎まで覆う。早朝の光が窓から差し込み始める。まだ早すぎるので、私は寝返りを打ち、目を閉じる。

シダーウッド、サンダルウッド、ベルガモットの香りが鼻をくすぐり、ハドリアンの枕の匂いを吸い込む。眠りが訪れるのを待つが、来ない。ここ数日の出来事がちらつく。ゼノ、航海日誌、そして図面。

あと数分待ってから、諦める。ハドリアンがいなくなるたび、自分の心が失われていくような気がする。

うめき声を上げ、仰向けになる。この数日、私はますます情けなくなっている。彼がそばにいないと寂しくなる。そして、彼はここ数日、ますます不在がち...