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第33話

ハドリアン

琥珀色の液体がクリスタルのタンブラーから流れ落ち、私のグラスに注がれる。ウイスキーはオーク材と蜂蜜、そして後悔する決断の香りがする。国境にいる時はあまり飲まないが、宮殿にいる時は、ウイスキーの消費量が著しく増えるようだ。過去の記憶は、戻ってくるといつも一層残酷になる。残念ながら、私の体は好みよりも少し早くアルコールを燃やし尽くしてしまう。

エマは私のオフィスの緑のベルベットのソファに座り、私を見つめているのが分かる。私は大きく一口飲み、ウイスキーが喉を焼くように通り抜けるのを感じる。それは心の状態の鋭い縁を鈍らせ、痛みの鋭い稜線を和らげる。

「彼女にお礼を言うべきだ」とネロが...