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第27話

銀の刺激臭が鼻を突く。強い狼なら簡単に近くに銀があることを察知できる。その匂いを嗅ぎ分けられるのだ。その苦い香りは全身に警告信号を送り、首筋の毛を逆立たせ、腕に鳥肌を走らせる。それは私を意識不明の状態から目覚めさせ、迫り来る脅威を見つけようと私は体を起こす。

私は宮殿の自室のベッドにいて、隣には眠る人影がある。昇る朝日が窓から差し込み、エマの上に柔らかなオレンジ色の光を投げかけている。彼女の表情は穏やかだ。長い金色のまつげが白い肌に影を落とし、長い白い髪が枕の上に乱れて広がり、ふっくらとした唇が少し開いている。彼女の喉元には、銀の鎖で吊るされた青い月のチャームが輝いている。

「またあの首飾...