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第25話

私の手の中の古い本のページが指先で音を立てる。紙から埃が舞い上がり、くしゃみが出る。全身がその動きに反応して、本が手から落ちてしまう。宮殿の塔にある図書館の十五階にくしゃみの音が響き渡る中、鼻の中ではまだ埃の粒子がむずがゆい。何百万もの本が棚に並び、列が続いている。塔の中心部は吹き抜けになっていて、ガラスの天井まで見通すことができる。そしてこれは二つある塔のうちの一つにすぎない。

「お大事に」三階下からマイルズの声が聞こえる。

この一週間、キャラムとマイルズは私の一挙手一投足を見張っている。特にキャラムは私を視界から外そうとしない。私が彼を銀のネックレスで絞め殺すとでも思っているのだろう。...