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第155話

トンネルは暗く、冷たい。闇が私の周りのすべてを遮断する。冷気が私を侵し、支配しようと脅かす。何時間も暗闇の中にいても、私が正気を保ち、現実に繋がっていられる唯一のものは、私が身を寄せている温かい体だ。

ハドリアンはほとんどの道のりを私を運んでくれている。自分で歩こうとしたけれど、暗闇と寒さの組み合わせにすぐに負けてしまった。

「運んでもらって申し訳ない」と私はまた言う。彼の肌に向かって囁く。彼の香りは熱く濃厚で、私に陶酔感を与える。

「謝る必要はないよ」とハドリアンは繰り返す。

私は耳元で響く彼の声に耳を傾ける。低いかすれ声が私の肌を撫で、心地よい。私は頭を動かし、彼の顎にキスをする。...