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第138話

エマ

冷たい風が腕に鳥肌を立たせ、私は胸の前で腕を組む。セーターを脱いでベッドの上に置いたままだ。指先で包帯の端をなぞるが、はがそうとは思わない。

隣家からカーターが出てきて、私を見ると少し目を見開いた。彼は素早く視線をそらす。似たような木箱を車に積み込んでから、再び隣家へと戻っていく。彼から感じる緊張感に、私は眉をひそめる。

カーターは読みやすい。怒り、疑惑、恐れ、どれも彼が隠せない表情に現れている。彼はもっと知っている。

馴染みのあるタバコの匂いが鼻をつく。煙が周囲の空気と混ざり、喉がむずむずする。その煙の跡を辿ると、路地から来ているようだ。

家の横にある路地は日陰になってい...