彼女の無伴侶の王子

第121話

エマ

家に足を踏み入れた瞬間、私は体から幾重もの布地を引き剥がした。どの層も一枚多すぎる。熱が私の肌と布地の間に閉じ込められている。汗で濡れたシャツをレギンスと一緒に洗濯物の山に放り込んだ。

空気の流れが肌を冷やすと、少しだけ呼吸が楽になる。それでも内側から燃えるような熱は容赦なく続いていた。蛇口をひねり、冷水を全開にする。

「エマ？」グラシエラがバスルームの開いたドアに立っていた。ドアを開けっ放しにしていたことに気づかなかった。グラシエラは深く息を吸い込み、目を見開いた。「あなた—」

「大丈夫よ」私は言って、冷たい水に洗面布を浸す。それを首の後ろに当てた。「ちょっと冷やす必要があるだ...