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第120話

エマ

私は両手でトレイのバランスを取りながら、腰を使って彼女の寝室のドアを押し開ける。「お茶を入れたわ」カップがソーサーの上で揺れ、私は動きを止める。カップが落ちなかったことに安堵のため息をつく。

グラシエラはベッドから起き上がり、素早く私の方へ向かってくる。「そんなことしなくていいのに」彼女は私の手からトレイを取ろうとするが、私は彼女の手の届かないところへ引っ込める。

「どうせお茶を入れていたから」私はトレイをタンスの上に置く。トレイにはエキナセアの葉と生姜の根のハーブティーが入ったマグカップとオレンジのスライスが載った皿がある。生姜の強い香りが部屋中に漂う。

グラシエラはトレイから...