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第110話

木の樹皮が私の背中に押し付けられ、肩甲骨に食い込む。深く魅惑的なサンダルウッド、シダー、ベルガモットの香りが、豊かな土と新しく落ちた葉の匂いと混ざり合う。彼の手のひらの荒々しい感触が私の素肌の腕をなぞっていく。ハドリアンが触れるところすべてに熱い震えが走る。

「跡をつけないで」私は彼が顎から首筋へと吸いながら辿るとき、うめく。周囲に多くの目がある中で愛の痕を隠すのは危険すぎる。

彼の胸が低い唸り声で震える。片手は私の背骨を下り、お尻の曲線をなぞる。もう片方の手は私の頭の横を抑え、彼の望む方向へと軽く引っ張る。

唇は彼の荒々しいキスでうずき、息は酸素不足で浅くなっている。

ハドリアンは徐...