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第108話

ハドリアン

「閣下?」その言葉が、今までにないほど私の肌をはい上がる。ここにそぐわない言葉だ。

私の頭は目の前の状況を素早く分析している。二人の兵士は若い。彼らの肩には銀の三日月の記章がある。「士官候補生か」

二人とも胸に第一師団の紋章が刺繍されている。金糸が光の中で輝いている。「ゼノ将軍」

その最後の気づきで血が凍りつく。ゼノの部隊から二人の士官候補生がここにいるということは、もっと多くの兵がいるということだ。ゼノ将軍がこの地域にいる理由はない。

父が私とエマを探すために彼を派遣したのでなければ。

ゼノが私たちを見つければ、彼の部隊は間違いなく私たちを捕らえるだろう。特にネロがい...