彼の大きな体が私の小さな体を圧倒する。近づいてくるたびに、服の下の筋肉が盛り上がっているのが分かる。逃げ出したいのに、彼は私を離してくれない。腕を掴まれる。

「お前は俺のメイトだ」

「選ばれたメイトよ」私は言い返す。この二つには明確な違いがあることを学んだ。月の女神様が創り出した運命のメイトの絆は、否定しようのない純粋なものだと。

そう、聞いた話では。

彼が私を引き寄せると、低い唸り声が部屋中に響き渡り、私の体に振動が伝わる。彼の腕は分厚い鉄の檻のように私を閉じ込める。琥珀色と漆黒の間で揺れ動く瞳。

「関係ない。お前は、俺の、メイトだ」

「でも——」

二本の指で顎を掴まれ、強制的に上を向かされ、言葉を遮られる。

「聞こえてないのか？」

——————

彼らは私を王太子のメイトにしようとしている。私なんて、ただの人間なのに、冷酷な怪物とメイトになれというの！

私たちは何年もの間、狼人との戦いを続けてきた。多くの友人や家族が狼人の爪の下で命を落とすのを見てきた。私は小さくて弱いけれど、今また狼たちが私の故郷に襲いかかろうとしている。もう黙って見ているわけにはいかない。

みんなを守ることはできる。でも、そのためには敵の要求に従わなければならない。彼らは私が怖がっているから言うことを聞くと思っているの。正直、私は恐ろしい。悪夢に出てくる怪物たちと暮らすなんて、誰だって怖いはず。

それでも、たとえ生き残れないとしても、私は決して自分の民を見捨てたりしない。

それに王太子？破壊と絶望が血の中を流れているはず。きっと他の者たちよりもっと酷いに違いない。

そう、でしょう？

——————

注意：この物語には露骨な表現、暴力、殺人、性的な描写が含まれます。


彼女の無伴侶の王子

エマ
毛布で視界が遮られ、兄の声が聞こえた瞬間、私の血が凍りついた。まるで氷水を浴びせられたようで、興奮は一気に冷めてしまった。
家に入ってくる複数の人々の笑い声が下階から響き渡る。四人、五人、六人？心臓の鼓動が耳に響く中でもその音が聞こえてくる。やばい。
ドアが閉まると、その声はくぐもったものになった。しばらくして毛布が引かれる。光が闇の秘密を暴き出し、ほとんど裸の私たちの体を照らし出す。私のサテンのローブは開いたまま腕に垂れ下がっている。急いでベルトを締める。
なんてバカなことをしたんだろう？どうしてハドリアンの部屋で寝てしまったんだろう？
ハドリアンはベッドから立ち上がり、硬く...

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