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第85話

映画館を出てから、彼女と別れる気にはなれなかったので、彼女が甘いものを欲しがっていたのでパン屋に入った。私は様々なケーキやお菓子の香りを嗅ぎ、味蕾がうずくのを感じながら、芳醇なケーキが口の中で溶けていく味を早く味わいたいと思った。その考えだけで思わず唸ってしまう。

「いつからイチゴを食べるようになったの?」ステファニーは私がケーキを一切れ口に入れて目を閉じたときに尋ねてきた。

「わからないわ。私がイチゴをどれだけ嫌っていたか知ってるでしょ。でも今日はなぜかもっと好きになってる」私は肩をすくめながら答え、とても美味しいケーキをもう一口食べた。

「それを変だと思わないの?」彼女は何を言おうと...