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第81話

第三者視点

三十分ほどして、玄関のドアをノックする音が何度か聞こえた。ネロンは席から素早く立ち上がり、ドアを開けた瞬間、鋼のような灰色の目と視線が合い、背筋に悪寒が走った。

高身長で肩幅の広い男が、一般的な服装で立っていた。シンプルな黒のTシャツに同色のパンツ、膝丈のブーツを履き、右肩から革製のクロスバッグを下げている。夏の時期にしては奇妙なファッションだ。コバルトブルーに染めた髪が前髪に触れ、顔の半分を謎めいた雰囲気で隠していた。男はネロンの魂を見透かすように見つめ続けていた。

「あなたがエンドウですか?」ネロンが尋ねた。

「はい」彼は単調な声で答えた。「このにらめっこは...