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第216話

「聖人を狂気に駆り立て、王を膝まづかせるほどの存在だ」― グレース・ウィロウズ

ネロン

「私が予知能力に初めて気づいたのは、アスヌズ・パックを継ぐ直前だった。数日間、この魅力的な若い女性が私を呼んでいる鮮明なビジョンに悩まされていた。想像できると思うが、当時の私にはルナはいなかった」祖父はフォークでサーモンを切り分け、一片を口に運んだ。噛みながら満足のため息をついた。「多くの疑問があったが、私の祖父が答えを持っていた。セレネとオーディンが彼の魂を祝福しますように」

筆頭オメガのルリが水差し、レモンのスライス、コリアンダーライムライスのボウルをダイニングテーブルに置き、下がる際...