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第206話

「剣を持たずにお前を守ることはできない。剣を持ったままお前を抱きしめることもできない」― 久保帯人

ネロン

「サタンの脇の下より暑いな」

「ここはフロリダよ。何を期待してたの?」

キヤはコンベアベルトから荷物を取り上げながら、小さな笑みを浮かべた。私たちの周りに集まる大勢の人間と濃い湿気で、彼女のこめかみには汗が流れていた。フロリダの暑さは確かに心臓の弱い人向きではない。私たちはマイアミ国際空港に午後2時過ぎに到着した。スーツケースを受け取った後、急ぎ足の人混みをかき分けて空港ターミナルへと向かい、アルファ・エリクのホテルへの専用車を探した。

「アンソニーからメッセージが...