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第175話

「人は為さなかった善行のすべてに罪を負う。」 ― ヴォルテール

キヤ

ダイアナは会話に夢中になっていて、視線を離そうとしなかった。私は彼女の鋭い眼差しを無視しようと努め、ネロンから一歩離れて楽に呼吸できるようにした。ネロンに近すぎると頭がおかしくなる。

「キヤ、君は良い人だ。それは何も変えられない」ネロンは窓の上にある月を見つめながら答えた。「そうでなければ、セレネは君を彼女の代表に選ばなかっただろう」

「彼女の化身が殺し屋になるべきではないと思う」

「キヤ、俺も人を殺したことがある。アンソニーも、君の両親も、そして狼人種の大部分もだ。もし君の言う『怪物』の定義が人殺しな...