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第172話

「私はすべての人を救えなくても、少なくともこの一つの命は救うことができた」― ティアナ・ワーナー

ネロン

キヤと私の周りにガラスの破片が雨のように降り注ぎ、私たちの体が緑の草地へと落下していった。着地した時、迷いガラスが開いた傷口に突き刺さった。大きな間違いだった。着地の衝撃波が足から頭まで走り、激しい痛みの爆発が私を膝をつかせた。自分の存在を呪わないようにするには神の意志が必要だった。傷口は救いを求めて泣き、血の涙が私の哀しみで大地を潤し続けていた。

あらゆるものが痛かった!

だが弱みを見せるわけにはいかなかった。オシリスが追っているのだから。

目の前に広がる森の入り口...