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第156話

三人称視点

アリエルは平衡を取り戻し、四肢で立ち上がると、ダリエンの方へと小走りに向かった。狼の精霊として、彼女の虚ろな体は物体をすり抜けるため、男が彼女を撫でようとしても触れることはできない。彼女のエメラルドグリーンの瞳は、涙で潤むダリエンの水色の瞳を見つめ、静かな希望と幸福を表現した。

アリエルはついに幸せを手に入れた。

赤い狼は月に向かって力強い遠吠えを放ち、その声は静まり返った森に響き渡った。彼女はセレネに呼びかけ、自分を地上から連れ去るよう腕を伸ばしてくれることを願った。すべての者が彼女の半透明の体が尾から始まり、銀色の塵となって消えていくのを見守った。痛みのない移...