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第107話

「…もう一度して」

女神よ、僕の運命の相手は僕を死に至らしめるだろう。僕を膝まづかせる力を持つ、その圧倒的な美しさ。僕は躊躇なく彼女の唇を奪い、彼女の舌を誘いながら熟したイチゴのような甘い味を堪能する。アルテミスが生み出す欲望の深みへと、さらに深く沈んでいく。

何年もの間、僕は運命の相手にキスするのがどんな感じか想像してきた。そのチャンスが訪れるのかと。人間の彼女が他の誰かと一緒にいる間も、僕は他のメスオオカミに初めてのキスを奪われる可能性を拒絶してきた。それを命綱のように守ってきたんだ。その栄誉は運命の伴侶のためだけに取っておいたもので、誰もそれを奪うことはできない。

それは夢だった。...