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第90話

一時間後、私は介護施設に到着した。それは大きな白い建物で、まさにそのものずばりの姿をしていた——死を迎える場所。私は再び目を拭う。運転手をつけることには利点があるが、車の後部座席に座って圧倒されるような細々したことを考えるのはその一つではない。唯一思いつく良い点は、運転手がいたおかげで私が車を事故らせずに済んだことだろう。

カイリーをガブリエラとアレックスに預けてきたが、今はそのことを考えられない。部屋に入ると、母は父のそばに座り、彼の青白く生気のない手に自分の手を置いていた。母は肩越しに私を見ると、父の胸に顔を埋めて泣き始めた。私は近づいて母の背中に手を置く。

深く息を吸うと、この場所で...