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第34話

私は階段を降りながら、神経からくる緊張感で胃がぎゅっと締め付けられるのを感じていた。ムーンは下で待っており、私が降りてくるのを見つめている。彼は今日家を出る時にスーツを着ていたが、明らかに別のものに着替えていた。黒くて洗練されたスーツで、彼の見事な姿に私は息をのんだ。それは彼の外見だけではない。彼の立ち姿から放たれる威厳。彼の顔の真剣な表情、そして何より——彼の目。

私はムーンを、この世で最も美味しいキャンディーを見るように見つめていた。しかし彼の表情はまったく違うことを語っていた。彼は捕食者のような目で私を獲物のように見ていた。私の胃はひっくり返り、膝から力が抜けた。彼が手を差し出し、私は...