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第276話

背中にかかる温かい腕で目が覚める。しばらくの間、私は愛され大切にされていた昔の世界にいた。体を動かすと、腹筋が緊張する。胃の痛みですべての記憶が一気に戻ってくる。私とコリはレイプされた。コリは二本の指を失った。そしてそれはすべて私のせいだ。

「マディソン」ムーンが私の肩に囁く。

眠ったふりをしたいけど、もう遅い。彼は私の背中から髪をどけて、そこに手を置く。私は寝返りを打ちたくない。彼に見られたくない。私の涙はどこ?怒りはどこ?虚無感が私を襲い、砂嵐の中の竜巻のように渦を巻いている。

ムーンは私を仰向けにして、天井への視界を遮る。「話してくれ、ベイビー、何でもいいから」

「嫌」私のかすれ...