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第274話

私は茫然自失としている。

ムーンが部屋を出て行き、カルロが入ってくる。ドアの前でトゥー・ドッグスが鳴いているが、その鳴き声はすぐに止み、きっとムーンが彼を連れ去ったのだろう。私はバスローブだけを羽織り、下には何も着ていない。気にするべきだろうが、そんな気力もない。ただベッドに横たわり、これから二十年眠り続けたいだけだ。

カルロは静かに私の周りを動き回り、器具を並べている。状況は全く違えど、こういう場面は以前にもあった。彼は私の空間を侵害しているわけではない。まだは。

「君の方が友達よりは良い状態だと分かって安心したよ」と彼はようやく言った。

私は彼を見ようともしない。外傷がいくつかあり...