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第269話

ゆっくりと呼吸ができるようになると、絶対的な明晰さが私の意識に入ってくる。フェルナンデスの車に乗り込んだ瞬間から、私はずっと愚かだった。ムーンが私を助けに来てくれる。彼が私を救ってくれる。彼がフェルナンデスを殺してくれる。そう思い続けていた。ムーンが私の人生を支配する前の私なら、こんな考え方はしなかっただろう。コリと私は夫を待っていられない。待っていたら殺されるだけだ。この手でフェルナンデスを殺し、彼の命が消えていくのを感じる必要がある。この結論が頭の中に落ち着くと、穏やかな感覚が私を包み込んだ。私は冷静に立ち上がり、コリのベッドの端にいるフェルナンデスに向かって歩いていく。彼の垂れ下がった肉...