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第105話

俺のボロバイクが股の間で震えている。熱いアスファルトが体の下半分を焼き、太陽が肩を焦がす。間違いなく地獄より暑いと断言できる。

この先数時間生き延びられたとしても、バイクの修理が必要だ。金がかかるだろうな。だがそれは今の心配事の中では最も小さい。そんな考えは振り払おう。たった今、安全な腕に託した少女を救ったことで、何らかの贖罪感を覚えるべきなのかもしれない。カイリーは薬中の母親や、デザート・クロウズMCの会長フォックスが彼女のために計画していたことなど受けるに値しなかった。カイリーの目を見たとき、この10年近く俺を覆っていた無関心の霧が晴れた。カイリーを家から連れ出す計画が成功するとは思って...