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第297話

しばらくすると、エルバートとエリザベスが歩いて距離を置いていると、エンリケがエルバートに近づき、囁いた。「ねえ、君のあの嗅ぎタバコ入れ、もしかして売ってくれないかな?倍の値段で払うよ。」

今すぐ使うにしても、後でブレンダに渡すにしても、あの物があれば不運を完全に打ち消せるはずだ。彼はそれに大金を払う覚悟ができていた。

エルバートは無表情で彼を見つめた。「売り物じゃない」と言い返した。

エンリケはエリザベスに対してひどい奴だったから、エルバートは彼のことなど気にも留めなかった。あの男は自業自得で、金を払えば問題が解決すると思うべきではなかった。

エンリケは眉をひそめた。「じゃあ、値段を言...