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第892話

彼は続けた。「みんな利己的だから、俺に対して正義ぶるのはやめろ。彼はお前の家族を殺してない。俺もそうだろ?」

クインの目が揺らいだ。彼の言葉は彼女の胸に重しのようにのしかかり、息苦しくさせた。

彼女は自分が本当にそれほど利己的なのかと考え始めた。

もし彼女が利己的でないなら、アレクサンダーが提案したように、ウォルターをアレクサンダーのような人間と同列に置き、両方を等しく憎まなければならないだろう。

しかし心の奥底で、クインはそれができないことを知っていた。

誰もが利己的だが、それを示す方法が違い、焦点を当てるものも異なる。

リーガル・リバーサイドにほぼ到着するまで、クインはアレクサ...