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第83話

クインは唇を引き結び、階下へ向かうために席を外した。

彼女は曲がりくねった廊下を進み、トイレを見つけたが、そこにはちょうど用を足し終えたウォルターがいて驚いた。彼女に気づくと、ウォルターは慌てて数枚のペーパータオルを引き千切って手を拭きながら、「入っていいよ。もう終わったから」と彼女に告げた。

クインは微かな笑みを返し、うなずきながら中に入った。「床がちょっと滑りやすいから、足元に気をつけて」と彼は警告した。

しかし、その言葉が完全に理解される前に、クインは後ろに滑り始めていた。必死にバランスを取ろうと、彼女は何かつかまるものを探し、手がウォルターの腕に届いた。素早く反応したウォルターは...