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第76話

クインは保護するような姿勢でグループの前に立ち、両腕を広げた。彼女の震える肩には恐怖が明らかだったが、それでも彼女はアビゲイルを守るために踏みとどまった。

群衆は彼女の行動を共犯の証と解釈し、それが彼らの怒りをさらに煽るだけとなった。悲嘆に暮れる家族は、怒りを増し、クインを押しのけようとした。

しかし、クインの方が素早かった。パニック状態で、彼女は男の一人を押しのけた。全力を込めたその一押しで、男は後ろにいる人々の腕の中によろめき倒れた。「殺人から逃げられると思ってるのか?」男の手がクインに向かって振り下ろされた。

本能的に、クインは腕を上げて一撃を防ごうとしたが、アビゲイルの方が速かっ...