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第653話

アレクサンダーは無反応のまま、まばたきひとつせずに静かに立ち尽くしていた。

クインは不安になった。彼女は急いで前に出て、ウォルターの腕を掴み、彼に向かって首を横に振った。

ウォルターはクインの慌てた視線を見つめ、唇には強い嘲りの色が浮かんでいた。

「何を見つけたんだ?」アレクサンダーが突然尋ねた。

ウォルターはアレクサンダーを睨みつけた。「なぜお前に教える必要がある?」

アレクサンダーは手を上げてウォルターの短剣を押しのけた。「暗くなってきた。さっさとこれを終わらせよう」

ウォルターは怒りながら短刀を鞘に収め、クインを引っ張った時、まるで綿を殴ったような感覚だった。

クインは墓石...